皺枯しやが)” の例文
たしかに其は父の声で——皺枯しやがれた中にも威厳のある父の声で、あの深い烏帽子ゑぼしだけ谷間たにあひから、遠くの飯山に居る丑松を呼ぶやうに聞えた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
誰にでも好かれて、少年の私も一番よく馴染なじんだことを覚えて居る。斯の下婢は私のところへ来て、すこし皺枯しやがれたやうな、女らしい声で、みだらな流行唄はやりうたをよく私に唄つて聞かせた。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)