白髯橋しらひげばし)” の例文
初め市中との交通は白髯橋しらひげばしの方面一筋だけであったので、去年京成電車が運転を廃止する頃までは其停留場に近いところが一番にぎやかであった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
濛靄もやのかかった長い土手を白髯橋しらひげばしまでドライブして、ここで泊まったことがあったが、怪談物の芝居にあるような、天井の低い、いぶしのかかった薄暗い部屋で、葉子はわざと顔一杯に髪を振り乱して
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
表のラディオも今しがたんだようなので、わたくしは縁日の植木鉢をそっと窓から中に入れて、其夜はそのまま白髯橋しらひげばしの方へ歩みを運んだ。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一筋は白髯橋しらひげばしの方へ走り、それと交叉して浅草公園裏の大通が言問橋を渡るので、交通は夜になってもなかなか頻繁ひんぱんであるが、どういうことか
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
行手ゆくての右側に神社の屋根が樹木の間に見え、左側には真暗な水面を燈火の動き走っているのが見え出したので、車掌の知らせを待たずして、白髯橋しらひげばしのたもとに来たことがわかる。
寺じまの記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)