癈兵はいへい)” の例文
じっさい巴里における癈兵はいへいの社会的権力と来たらすさまじいもので、地下鉄メトロには特別の席があるし、癈兵が手を出したら煙草でも時計でも衣服でも全財産を即座に提供して
松葉杖をついた癈兵はいへいが一人ゆっくりと向うへ歩いてく。癈兵はいつか駝鳥だちょうに変っている。が、しばらく歩いて行くうちにまた癈兵になってしまう。横町よこちょうかどにはポストが一つ。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「初め、癈兵はいへいじゃろう云いよったが、風琴を鳴らして、ハイカラじゃ云う者もあった」
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
日露戦争の癈兵はいへいらしい老人がふたり、ひとりは手風琴を、他はヴァイオリンを鳴らして路傍に物乞いしている。跛足と盲らだ。「無眼之人」と大きく書いたボウル紙を首から下げていた。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)