疇昔ちうせき)” の例文
山陽が二十一歳から二十六歳に至る間の事である。疇昔ちうせきより山陽の伝を作るものは、皆此幽屏の前後に亘る情実を知るにくるしんだ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
われは前度の別をおもひて、サンタ夫人との應對いかがあらんと氣遣ひしに、夫人の優しく打解けたるさまは、毫も疇昔ちうせきに異ならざりき。
西田猪之輔、渡邊三角洲両君とは別後と疇昔ちうせきとに亘つて頻に語つた。中日文化協会の機関誌「満蒙」の主筆中溝新一君は生面の文人である。
そしてその酸き味のあとに舌に觸れる一種の薌澤きやうたくに邂逅して、忽然として疇昔ちうせきの情を囘想したのである。
すかんぽ (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)