町駕籠まちかご)” の例文
事件は妙に急迫感を帯びて来たので、寸刻の遅れも許されず、町駕籠まちかごを拾って精一杯の酒手さかてをやったのは平次にしては珍しいおごりです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
杖をあげた二ちょう町駕籠まちかごは、幾つもの辻を折れて、城下の灯をあとへ後へと送ってゆく。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから本所まで、暑い時分で、尻を端折はしょって駆け出すわけにも行かず、町駕籠まちかごを飛ばして、行き着いたのは、かれこれ昼頃。
囚人めしうど小三郎を乗せた馬が、竹矢来の中へ入ろうという時でした。一梃の町駕籠まちかごが、役人の油断を見すまして、ツ、ツ、ツと、裸馬の前——ピタリと竹矢来の入口をふさいだのです。
間もなく、東作が町駕籠まちかごで乗込んで来ました。