甲野こうの)” の例文
自然石じねんせき形状かたち乱れたるを幅一間に行儀よく並べて、錯落さくらくと平らかに敷き詰めたるこみちに落つる足音は、甲野こうのさんと宗近むねちか君の足音だけである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小学校六年生の宮本みやもとミドリちゃんと、五年生の甲野こうのルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附あかさかみつけの近くの公園にはいっていきました。
魔法人形 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこへ出たのが、この間、拝命はいめいしたばかりの若い巡査だったが、『トラ十へ』という声に気がついて、その巡査を押しのけて前へ出て応接したのが、ここにいる甲野こうの巡査です。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
高等学校こそ違え、大学では甲野こうのさんも小野さんも同年であった。哲学と純文学は科が異なるから、小野さんは甲野さんの学力を知りようがない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
縦横に、前後に、上下しょうか四方に、乱れ飛ぶ世界と世界が喰い違うとき秦越しんえつの客ここに舟を同じゅうす。甲野こうのさんと宗近むねちか君は、三春行楽さんしゅんこうらくの興尽きて東に帰る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)