その中でも夫婦は、唯、一夜の契にてさえも、五百しょうの宿縁と申すほどでござります。しかし、生者必滅しょうじゃひつめつ会者定離えしゃじょうりは浮世の定めでございます。
妻として母として学問の必要なることは、これを生活問題から見ても益々ますますその必要を感ずるのである。栄枯盛衰えいこせいすい生者必滅しょうじゃひつめつとは古い文句であるが、常に新しい意味を持っている。
夫婦共稼ぎと女子の学問 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
万一の事を考えると今の内に有為転変ういてんぺんの理、生者必滅しょうじゃひつめつの道を説き聞かして、もしもの変が起った時取り乱さないくらいの覚悟をさせるのも、おっとつまに対する義務ではあるまいかと考え出した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)