瓦落多がらくた)” の例文
以前は人形や玩具に趣味をって、新古東西の瓦落多がらくたをかなりに蒐集しゅうしゅうしていたが、震災にその全部を灰にしてしまってから、再び蒐集するほどの元気もなくなった。
薬前薬後 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
麻酔薬まやく、毒薬、絹紐きぬひも、ハンカチ。数を尽くした瓦落多がらくた道具が。あるが中にも文明国では。一と呼ばれるホントウ国だよ。そこの首都みやこのタマゲタシチーで。わしが見て来た新式手段が。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「野郎、しようのない瓦落多がらくただが可哀相に、可愛い奴だ。先生、憎くはない。」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なまじい保護を受ければこそ、こんな兄に頭を下げなければならない。牛乳配達をしても食ってられると覚悟かくごをした。兄はそれから道具屋を呼んで来て、先祖代々の瓦落多がらくた二束三文にそくさんもんに売った。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)