珠数ずゝ)” の例文
旧字:珠數
と声をかけて、入つて来たのは蓮華寺の住職の匹偶つれあひ。年の頃五十前後。茶色小紋の羽織を着て、痩せた白い手に珠数ずゝを持ちながら、丑松の前に立つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
遽然にはかに、二人の僧の声が絶えたので、心づいて眺めた時は、丁度読経どきやうを終つて仏の名をとなへるところ。間も無く住職は珠数ずゝを手にして柱の側を離れた。若僧はだ同じ場処に留つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と奥様は珠数ずゝ爪繰つまぐり乍らとなへて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)