玩弄物もてあそびもの)” の例文
多くの人の玩弄物もてあそびものになると同時に、多くの人を弄んで、浮きつ沈みつ定めなき不徳と淫蕩いんとうの生涯の、そのはてがこの河添いの妾宅に余生を送る事になったのである。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これを玩弄物もてあそびものにして、対等の「人」たる価値ねうちを御認めにならぬのは、例えば生殖の道においてのみ交渉を御認めになるというようなのは、いまだ古い思想にしばられておられるか
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
しかし部落の住民などの玩弄物もてあそびものになってしまっては、遊君の値打ちも台なしであるとは云え、この頃の遊君と来ては、徳川時代の山猫芸者、それくらいの価値しかなかったもので
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)