すゐ)” の例文
聞き兼ねけんとすゐするまゝ、思ひ入りて擦る数珠の音の声澄みて、とふたゝび言へば後は言はせず、君にて御坐せしよ、こはいかに、となんだに顫ふおろ/\声、言葉の文もしどろもどろに
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
心留むべき世も侍らず、と諭せば女は涙にて、さては猶我を世に立交らひて月日経るものと思したまふや、灯火暗うはあれどおほよそは姿形をもすゐし玉へ、君の保延に家を出でゝ道に入り玉ひしより
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)