爾思しかおも)” の例文
爾思しかおもへる後の彼は、ひそかにかの両個ふたりの先に疑ひし如き可忌いまはしき罪人ならで、潔く愛の為に奔る者たらんを、いのるばかりにこひねがへり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
爾思しかおもへりしのみにて直行はその他になほも思ふべき事あるを思ふを欲せざりき。雅之の私書偽造罪をもて刑せられしは事実の表にして、その罪は裏面に彼のはかりて陥れたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)