無花果樹いちじゆく)” の例文
その破壞してかたばかりになりたる裡に、大なる無花果樹いちじゆくあり。蔦蘿つたかづらは隙なきまでに、これにまつはれたり。われは此樹にぢ上りて、環飾編みつゝ、流行の小歌うたひたり。
(相待上新しき地層の石にして、石灰分ある温泉の鹽類の凝りて生ずる所なり。)無花果樹いちじゆくはそのめぐりに枝さしかはし、野生の葡萄は柱頭迄ぢ上り、石質の罅隙かげきを生じたる處には
詩神は蒼茫たる地中海を渡り、希臘ギリシアの緑なる山谷の間にいたりぬ。雅典アテエンは荒草斷碑の中にあり。こゝに野生の無花果樹いちじゆくくだけ殘りたる石柱をおほへるあり。この間には鬼の欷歔ききよするを聞く。