無三四むさし)” の例文
両国の野天講釈や祭文さいもんで聞きおぼえた宮本無三四むさしや岩見重太郎や、それらの武勇譚が彼の若い血を燃やして、清水山の妖怪探索を思い立たせた。
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宮本無三四むさしは、佐々木巌柳がんりゅうを打ち倒しても、まだその生死のほどを見極めるまでは、近寄ることをしなかった。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ところが、幽霊は大嫌否きらいさ。「弁慶も女は嫌否かッ。「宮本無三四むさしらいに恐れて震えたという。「遠山喜六という先生は、蛙を見ると立竦たちすくみになったとしてある。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その活溌な雄壮な風と自分が稽古に精を出すのとを娘に見せてやろうと思ッた,それから武者修行に出る宮本無三四むさしのことを思い出しながら、姉の部屋へはいッたが
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
「これが宮本無三四むさしか何かだと、狒々ひひ退治とか云って芝居や講釈に名高くなるんですがね」と、半七老人は笑った。
半七捕物帳:06 半鐘の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それを宮本無三四むさしが退治するというのが、最も世間に知られている伝説らしく、わたしは子供のときに寄席の写し絵などで幾度も見せられたものである。
小坂部伝説 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)