静軒は滑稽諧謔こっけいかいぎゃくの才あるに任せややもすれば好んで淫猥いんわいの文字をもてあそんだが、しかしその論文には学識すこぶる洽博こうはくなるを知らしむるものすくなからず、またその詩賦には風韻極めてしょうすべきものが多い。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)