満州まんしゅう)” の例文
それに、おじさんが病気をして、手足がよくきかなくなって、手品てじながうまくつかえないんだ。それで、また満州まんしゅうに行くところだよ
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
たとえば信州しんしゅうの山地にある若干の植物は満州まんしゅう朝鮮ちょうせんと共通であって、しかも本州の他のいずれの地にも見られないといったような事実があるそうである。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
たとえば満州まんしゅうにおける戦況の経過に関して軍務当局者の講演がある場合に、もし戦地における実際の音的シーンのレコードを適当に插入することができれば
ラジオ・モンタージュ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ぼくたちは、このとおり、じつは奇術師きじゅつしなんです。これから、満州まんしゅう中を、いや世界中を、旅して歩かなければなりません。それには、ぜひとも馬車がいるんです。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
どちらかと言えば日本のように大陸の東側、大洋の西側の国は気候的に不利な条件にある。このことは朝鮮ちょうせん満州まんしゅうをそれと同緯度の西欧諸国と比べてみればわかると思う。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
満州まんしゅうに近い蒙古もうこの山奥に、玄王げんおうという偉い人がいました。その地方を平和に治めて、立派な国をうち建てようと思っていました。その玄王げんおうに、ひとりの小さなむすめがありました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そうしてその翌晩はまた満州まんしゅうから放送のラジオで奉天ほうてんの女学生の唱歌というのを聞いた。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかしその氷の割れる音は科学を尊重するはずの日本へ少しも聞こえなかった。満州まんしゅう問題、五・一五事件、バラバラ・ミステリーなどの騒然たる雑音はわれわれの耳をろうしていたのである。
北氷洋の氷の割れる音 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)