渇仰者かつごうしゃ)” の例文
そうして不空羂索観音の渇仰者かつごうしゃであるZ君にかぶとをぬいだ。しかし美しいのはただ本尊のみではない。周囲の諸像も皆それぞれに美しい。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
竹中古城と謂えば、美文的小説を書いて、多少世間に聞えておったので、地方から来る崇拝者渇仰者かつごうしゃの手紙はこれまでにも随分多かった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
どんなに冷淡で厳格な人でも——時にはリストの敵でさえも、ついには彼にとらえられて、その渇仰者かつごうしゃの一人にならずにはいられなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
秀吉のごときはその渇仰者かつごうしゃの随一人であった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
リストはその作曲を通してでも、多くの渇仰者かつごうしゃと少なからざる排撃者とを持っている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
多くの友人と渇仰者かつごうしゃを持ち、くところ、美しい友情の発露を見ざるはなかった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)