淡泊さつぱり)” の例文
左様さうかと言つて可厭いやに澄まして居るといふ風でも無い——まあ、淡泊さつぱりとした、物に拘泥こうでいしない気象の女と知れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
サア淡泊さつぱりと男らしく渡して仕舞へと云れて又も殘りの金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『えゝ——蓮華寺の母が彼様あゝいふ話好きな人で、男の方は淡泊さつぱりして居ていゝなんて申しますもんですから、く勝野さんも遊びにいらツしやいました。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
手紙を書いて貰ひに来た奥様は、用をそつちのけにして、種々いろ/\並べたり訴へたりし始めた。淡泊さつぱりしたやうでもそこは女の持前で、聞いて貰はずには居られなかつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)