消息おとずれ)” の例文
「荊州からなんの消息おとずれもくるわけはありません。玄徳は関羽、張飛、趙雲などを集めて、汝南にたて籠っておる由です」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故郷ふるさと消息おとずれ聞くよしもなし、東京なる大原満は小山夫婦と中川兄妹の尽力によりて近頃新なる家に引移れり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今十二通の裏にみなぎる春の楽しみを変えて三通を貫く苦き消息おとずれとなしたもうは貴嬢きみならずや。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そして、イギリスへ行かれたきり、次第に消息おとずれも絶えてしまいました。
人間繁栄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あわれこの二人は始めよりその運命を等しゅうすべきところありて黙々のうちその消息おとずれを互いに会しいたるならざるか。柱鳴り瓦飛び壁落つる危急の場にのぞみて二人一室に安座せんとは。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)