流離りゅうり)” の例文
「いいえ、私たちは、忍ばねばなりません。ただ流離りゅうりみかどのご心中はいかばかりぞと、山深むほど、何やら胸がつまって来るばかりです」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、この流離りゅうりたるや、そもそも史進その人が、生れながらにして百八せい中の一星たる宿命だったことによるものだろう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやいや、やむをえずとは申せ、流離りゅうり亡命の宋江の如きが、錦繍きんしゅうの帝旗にてむかい、あなたへも、さんざんな無礼、どうか平におゆるしを」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、どんな事情で輦輿れんよがこんな所を越えて行くのやらも、また、みかど流離りゅうりと聞かされても、みかどが流されるとはと、ただ首をかしげるだけな彼らだった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つ さきには讒構ざんこうをもうけて、巧みに、兵部卿ひょうぶきょうノ親王(大塔ノ宮)を流離りゅうりに陥す。その罪の六。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)