汲水場くみづ)” の例文
汲水場くみづに立つ湯上りの素肌しなやかな肺病娘の唇を嗽ぎ、気の弱い鶩の毛に擾され、そうして夜は観音講のなつかしい提灯の灯をちらつかせながら、ゐびを隔てて海近きおきはた鹹川しほかはに落ちてゆく。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
背戸ごとに小舟もやへる汲水場くみづにはをりをり女居りて日暑し
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鍋二つ汲水場くみづに伏せて明らけき夏真昼なり我家わがやなりにし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
眼のうらに光る汲水場くみづくちなははしる影さへすばやかりしか
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ついかがむおと女童めわらは影揺れてまだ寝起らし朝の汲水場くみづ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)