まり)” の例文
「ほら、これですよ」と帆村は二三歩あるいて、床の上にころがっている一つの大きいまりのようなものを指した。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この言葉を聞くなり、山本医師の身体はゴムまりのように椅子いすから跳ね上がった。そうして、何か言おうとしてもただ唇だけが波打つだけで、言葉はのどの奥につかえで出てこなかった。
愚人の毒 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
毛のまりのようなきれいな仔猫が三匹すぐ背をまるめて靴の紐に戯れかかった。
フランセスの顔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
道が悪くて、軽い車体はゴムまりのようにはずんだ。そのたびごとに、樽の上に御座る店員先生は悲鳴をあげた。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)