武陵桃源ぶりょうとうげん)” の例文
「おうこの辺は、たいそう桃の多いところだな。今や桃の花ざかり。そうだ、今夜は一つそこらの桃林に寝て、武陵桃源ぶりょうとうげんの夢とでも洒落しゃれようか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
常陸ひたちの水戸領の安寺持方あてらもちかたは、早く知られたるその一つの例であって、近世になるまで結縄ゆいなわをもって文字に代え、人からは武陵桃源ぶりょうとうげんのごとく目せられていた。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
シー・ピー・スクラインがパミールの岩山の奥に「幸福の谷」を発見した記事を読んだときにいわゆる武陵桃源ぶりょうとうげんの昔話も全くの空想ではないと思ったことであったが
雨の上高地 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ほとんと武陵桃源ぶりょうとうげんをもってこれを視たのみならず、さらにその作のたしか稚枝鳩わかえのはとか何かの中に、この地の事を取り入れて纐纈城こうけつじょう古譚こたんの焼直しを試みている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
武陵桃源ぶりょうとうげんの隠れ里のごとく、彼等が自得自讃の根拠あることを感ぜしめるからである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すなわち武陵桃源ぶりょうとうげんの発見とはなったのであろうと思います。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)