桎梏しつこく)” の例文
丈艸のこの安らかな心もちは、久しく芭蕉の人格的圧力の桎梏しつこくに、空しく屈してゐた彼の自由な精神が、その本来の力を以て、やうやく手足を伸ばさうとする、解放の喜びだつたのである。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鎖国令といふ桎梏しつこくを受けないで、日本民族の進取の本能に任せて海外発展が続けられてゐたなら、二、三世紀前、すでに南洋一帯は我が版図になつてゐて、今ごろは日本は、東洋の平和
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
縱令たとひ忘られざらんも、その偶〻たま/\存ずるは汝が囹圄れいご桎梏しつこくとして存じ、汝が性命の杯中に落ちたる毒藥として存ずるならんといふ。われはタツソオの上をおもへり。矜持きようぢせるレオノオレよ。