相手と頼む松雲和尚しょううんおしょうにも前夜の客のことを話したが、午後にそこから引き返して見ると、正香の立って行ったあとには名状しがたい空虚が残った。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今か今かと待ち受け顔な松雲和尚しょううんおしょうが勝重らを迎え入れ、本堂と庫裏くりの間の入り口のところに二人ふたりの席をつくってくれた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
従来寺小屋を開いていた松雲和尚しょううんおしょうを相手にして、できるだけ村の子供の世話もしなければならないからであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
早くもとの首桶に納めたい、寺の住持松雲和尚しょううんおしょうに立ち会ってもらってあの侍の首級をうずめてしまいたい、その考えから彼は獄門三日目の晩の来るのを待ちかねた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
店座敷のまくらの上できくと、その音は毎朝早い勤めを怠らない松雲和尚しょううんおしょうの方へ半蔵の心を連れて行く。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遠い昔に禅宗に帰依きえした青山の先祖道斎が村民のために建立こんりゅうしたのも万福寺であり、今日の住持松雲和尚しょううんおしょうはまたこんな山村に過ぎたほどの人で、その性質の善良なことや
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遠い先祖代々の位牌いはい、青山家の古い墓地、それらのものを預けてある馬籠の寺のことから、そこに黙って働いている松雲和尚しょううんおしょうのことがしきりに半蔵には問題の人になって来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)