松濤しょうとう)” の例文
もっとも洋裁学院も、あれからずっと休みなのであったが、夙川しゅくがわ松濤しょうとうアパートの方は幸いに水禍すいかを免れたので、製作の仕事を続ける分には差支えないのだけれども
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして、これも一時は快方に向い、渋谷の松濤しょうとう園が住宅地となる頃まで、鍋島家の土木技師として雇用されていたが、その後、病気が再発して、ついに若死してしまった。
「ずいぶん年をとったけど、むかしどおりの粋人キャラントよ……追放解除になったあと、することがないもんだから、渋谷の松濤しょうとうの大きなやしきでショボンとしているわ。秋川が、毎月、生活費を送っているの」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この白系露人キリレンコの一家は夙川の松濤しょうとうアパートの近所の、上下で四間ぐらいしかない小さな文化住宅に、老母と、兄と、このカタリナと、三人暮しをしていて
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして、いつでも、松濤しょうとうアパートの妙子を電話へ呼び出して、落ち合う先を打ち合せてから、いそいそと出かけて行くのがさも楽しそうで、縁談のことなど全く念頭にないようであった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と云うと、悦子は電話口へ飛んで行って松濤しょうとうアパートを呼び出した。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
松濤しょうとうアパートは?」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)