暗闇まっくら)” の例文
汽車は駿河湾するがわんに沿うて走っている。窓外は暗闇まっくらだが、海らしいものが見別みわけられる。涼しい風が汗でネバネバしたはだを気持よくでて行く。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
この暗闇まっくらな坂を下りて、細い谷道を伝って、茗荷谷みょうがだにむこうあがって七八丁行けば小日向台町こびなただいまちの余が家へ帰られるのだが、向へ上がるまでがちと気味がわるい。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「私の心なども暗闇まっくらになったように思われるのですから、宮様としてはごもっともです。極力お慰め申し上げて、あなたがたの力で今後少しのお返事でもいただけるように計らってください」
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)