時宗じしゅう)” の例文
場所は、日ごろ時宗じしゅうの信徒が大勢寄って念仏講をするがらんとした大床の板かべ板じきで、阿弥陀像の壇にだけ、あかりが灯っていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
去年あたりからにわかに猖獗しょうけつをみせてきた例の踊る宗教——時宗じしゅう阿弥あみ仲間へはいるものが、おそろしい勢いでふえつつある。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして附近は、時宗じしゅうでら蓮華寺の門前町と移り変って、そのむざんな遺跡も、街道の一点景にすぎない風物と化し去っている。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここはまったく無人の部落、敵の一兵も見えません。そして時宗じしゅうの道場にや、住僧もいぬ古びた小寺がございました。おやかたをまん中に、一同で腹を
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かやぶき屋根の一の堂が前にある。なるほど、村人たちが念仏講に寄りあつまる時宗じしゅうの道場でもあろう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
踊る宗教といわれる時宗じしゅうの流行は、ついに上方からこの鎌倉にもおよんでいる。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
須臾しゅゆのまに、部落内は混み入って来た兵馬で揺れあい、渦まくえの下からは、足利方でもゆゆしげな武将ばらが、はや先を争ッて、時宗じしゅう堂の屋根を目ざしてくる。——いまは何かせん、である。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここの寺は時宗じしゅうだの」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)