旅舎ホテル)” の例文
旧字:旅舍
西暦一八一六年には此処に一つの旅舎ホテルが建てられたのだそうである。しかし何といってもアルプス山系のうちの一つの山の頂である。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
其等の漠然とした遠景の裡から仄白く光って延びる道路に連れて目を動かすと、村で一番大きな旅舎ホテルの伊太利風のパゴラの赤い円屋根と、白い柱列コーラムとが瞳に写りますでしょう。
C先生への手紙 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
女どもは僕らの旅舎ホテルの建っている、Rigiリギ-Kulmクルム に住んでいるのではなく、もっと山腹の方に住んでいる。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
午食すまして荷運びの赤帽あかばう二人を雇ひ、第一の部屋に行つて荷を運び、第二の部屋に運ぶやうに言附いひつけ、上さんに南京虫の談合をすると、『あなたが旅舎ホテルから持つて来たのだらう』
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
山は旅舎ホテルから南方にたたなわるもので、近いところから段々奥の方の山になると既に白い雪が降って水晶の結晶群を見るようである。窓の玻璃が僕のつく息で曇るのを、僕は手のひらで拭いた。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)