断簡零墨だんかんれいぼく)” の例文
しかしそれはかくも、さういふ断簡零墨だんかんれいぼくを近代語に訳したものを見ると、どれもこれも我我にはお馴染なじみの思想ばかりである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
事武蔵に関する限りどんなくだらない物でも、断簡零墨だんかんれいぼく、心にとめて五回や十回の応戦には尽きないだけの論駁ろんばくを持とうと願っていたのである。ところが、先へ死んでしまった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
断簡零墨だんかんれいぼくといえども、また以て彼が文武の全才たるを知るべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「それは、いささか割引がかんじんじゃ、大諸侯の物とて、一から十まで盲信するわけにはゆかん。いったい、羲之の真蹟はすべて唐の太宗たいそうが棺の中まで持ちこんで行ってしまったはずで、支那にも、もはや断簡零墨だんかんれいぼくもござらぬそうな」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)