数奇者すきもの)” の例文
越えて寛永十一年、封を大和国郡山に移した時、泉州堺の数奇者すきもの中村宗雪にこれを授けられた。寛延四辛未の年転じて塘氏家茂の所有に帰した。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
文化ごろ煎茶の流行した時代には数奇者すきものが集まって幾つもの椀に煎茶を盛って出し、その水の出所が多摩川か、隅田川か、はた井戸かをいい当てるを誇ったということである。
氷湖の公魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
それ数奇者すきものには得て癖がありがち、家に容貌きりょうなら品行ひんこうなら申し分のない女房を持ちながら、かえってその女房より容貌も位も十段も劣った女におぼれて、迷い込む者もあるものよ
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)