故郷人ふるさとびと)” の例文
そなたが故郷人ふるさとびととか幼な友達とかいう考えからでなくとも、ついに人を選ぶとしたら、わしでなければあの若い武士より外には、人という人は見当らなかったであろう。
玉章 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
八郎が剥身屋むきみやの親仁に軽く会釈をしたが、その語気いいかたは、故郷人ふるさとびとに対するしたしみぶりか、かえって他人がましい行儀だてだか、分らないうちに、ひさしを離れて、辻で人ごみを出る内儀と一所になった。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)