放心うっかり)” の例文
先生の放心うっかりつとに有名なもので、のみならず、たいへん不器用である。持って出た雨傘を持って帰ったことはなく、この年齢としになって、じぶんで鶏卵たまごを割ることができない。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
物のうちの人となるもこの一時ひととき、人のうちの物となるもまたこの一時※今が浮沈の潮界しおざかい、尤も大切な時で有るに、お勢はこの危い境を放心うっかりして渡ッていて何時いつ眼が覚めようとも見えん。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
放心うっかりしていると、ふわりとかぶさって来るようなこともしかねないのであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)