担荷にない)” の例文
旧字:擔荷
そこへ、夜鷹蕎麦そば担荷にないが通った。温かそうなねぎの香と、汁のにおいが、ふたりの空腹をもだえさせた。胃のうずきが唾液をわかせて抑止しようもない浅ましい意欲に駆られた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、叱られた兵よりは、酒売りの男の方が、きッと、眼にカドを立てた容子ようすだった。ふン……と鼻先で冷笑を見せたと思うと、すぐ担荷にない天秤てんびんへその肩を入れかけていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蕎麦屋は、巷の迅風耳じんぷうじとみえ、よくしゃべっていたが、急に、担荷にないに天秤をさし入れて
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)