抱合ほうごう)” の例文
彼らはこの抱合ほうごううちに、尋常の夫婦に見出しがたい親和と飽満ほうまんと、それに伴なう倦怠けんたいとを兼ね具えていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この開攘かいじょうの二家ははじめより元素を殊にする者なれば、理において決して抱合ほうごうすべきに非ざれども、当時の事情紛紜に際し、幕府に敵するの目的をもって、暫時ざんじの間、異種の二元素
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
地球の歴史はすでにこの変化を予想しつつある——活溌かっぱつなる酸素が地上の固形物と抱合ほうごうしてしだいに減却するならば、炭素が植物に吸収せられて黒い石炭層に運び去らるるならば
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もとよりこの二流は、はじめより元素を殊にするものなれば、とうてい親和抱合ほうごうすべからざるものと思わるれども、人事紛紜ふんうんの際にはおもいのほかなる異像を現出するものなり。近くその一例を示さん。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)