払下はらいさ)” の例文
「本当にも嘘にも、俺は此眼で見て来たんだ。それに、あの百観音を二束三文で古金屋に払下はらいさげ、炭俵に詰めて枕橋へ持って行ったぜ」
ふと木之助は「鉄道省払下はらいさげ品、電車中遺留品、古物ふるもの」と書かれた白い看板に眼をとめた。それは街角まちかどの、そとから様々な古物の帽子や煙草たばこ入れなどが見えている小さい店の前に立っていた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
今なら三千円ぐらいは素丁稚すでっちでも造作もなく儲けられるが、小川町や番町ばんちょうあたりの大名屋敷や旗下はたもと屋敷が御殿ぐるみ千坪十円ぐらいで払下はらいさげ出来た時代の三千円は決して容易でなかったので