手控てびか)” の例文
「ウンニャ、ちっとばかり忙しいことがあってね。ここんところ、いたずらの方は手控てびかえてるんだ。今日は久しぶりで、又赤いものが見たくなったもんだからね」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大抵は人に語りまたは何かの集まりに話をしたものの手控てびかえのままなので、聴手の種類や年齢に応じて、表現の形が少しずつかわり、文章も大分不揃いであります。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかしその命日毎めいにちごとに酒をそなへる画像ぐわざうを見れば、黒羽二重くろはぶたへ紋服もんぷくを着た、何処どこ一徹いつてつらしい老人である。祖父は俳諧を好んでゐたらしい。現に古い手控てびかへの中にはこんな句も幾つか書きとめてある。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)