所帯しょたい)” の例文
旧字:所帶
所帯しょたいの苦労もわが身の老いぼけたのも、まったく忘れてしまうから、なんでも子どものあるのがいちばんからだの薬になると思うよ。
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「ヘエ、ばかに景気がいいんですね、それにひきかえて、うちの所帯しょたいは相変らず火の車で、今もこの先の七ツ屋へ駈けつけるところなんです」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紀州の竜神へ行って温泉宿をやり、わしが亭主になって、お前がお内儀かみさんになって、所帯しょたいを持とうではないか、ね、そうして下さい、お豊さん
晃 翌朝の分——ああ、お所帯しょたいもち、さもあるべき事です。いや、それを聞いて安心したら、がっかりして余計空いた。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女はその時、もうさんざん苦労を仕抜いて所帯しょたい崩しであった。
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)