慾気よくけ)” の例文
要するに主人も寒月も迷亭も太平たいへい逸民いつみんで、彼等は糸瓜へちまのごとく風に吹かれて超然とすまし切っているようなものの、その実はやはり娑婆気しゃばけもあり慾気よくけもある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そういう人〻ははなはだ少くないが、時に気の毒な目を見るのもそういう人〻で、悪気はなくとも少し慾気よくけが手伝っていると、百貨店で品物を買ったような訳ではない目にも自業自得で出会うのである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
頭の頂辺てっぺんから足の爪先つまさきまで慾気よくけ満々まんまんとして寸分のタルミも無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)