惨風さんぷう)” の例文
このたび中国の役を幸い、陣中へ招いて、つぶさに戦陣の悲雨惨風さんぷうを味わわせ、約一年を過させました。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹千代たけちよとよばれた幼少に父とわかれ、六歳で敵国の質子ちしとなってから、今日までの流転の艱難を振り返ると——生れ出たわが子へも、人生の悲雨惨風さんぷうを、思い遣らずにいられなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と指さされて、食に困り、宿に迷い、浮世の悲雨惨風さんぷうにたたかれ通して、みじめな彷徨さまよいを続けたのち流れ流れて、元の江戸へめぐり帰って来たやつれた姿が、歳晩のちまたに見出されます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)