悪霊あくりやう)” の例文
旧字:惡靈
化物ばけもの屋敷へ探険に行つたり悪霊あくりやうかれたのをなほしてやつたりする、それを一々書き並べたのが一篇の結構になつてゐるわけです。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
昔、仏印で読んだ、悪霊あくりやうのなかの、スタヴローギンの用意のいゝ死支度を思ひ出すのである。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
……この小さな飛ぶ虫のなかには何か悪霊あくりやうが居るのである。彼はさう考へずには居られなくなつた。さう思へだすと、もう一度自分でそれを取圧へることは、彼には怖ろしくて出来なくなつた。
さそひし歌の悪霊あくりやう人生みぬ髪ながければ心しませや
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
悪霊あくりやう」のなかのキリーロフの言葉に、『けれど、痛みなしに死ぬ方法がないと思ひますか』
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
悪霊あくりやうのなかのスタヴローギンのいやらしい外貌ぐわいばうに似てゐる気がして気持ちが悪かつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)