恋文ふみ)” の例文
旧字:戀文
「これをね」とお色は恋文ふみを出した。「いつもの方の所へね。……これが駕籠賃、これが使い賃、これが向こうのお屋敷の、若党さんへの心付け」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「恋しい恋しい」という文字や「嬉しい嬉しい」という文字も、目茶目茶に恋文ふみへ書き込んだ。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
銀杏茶屋のお色は奥の部屋で、袖垣をして恋文ふみを書いていた。まだ春の日は午前であった。店の客も少なかった。部屋の中は明るかった。春陽が丸窓へ射していた。小鳥の影が二三度映った。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)