思郷病しきやうびやう)” の例文
何事に附けても東京に残した子供の思ひされるのが自分の思郷病しきやうびやうの主な現象であり又基礎となる物である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
自分の思郷病しきやうびやうます/\人目に附く迄はげしく成つた。其れで土地がかはれば少しは気の紛れる事もあらうと良人をつとに勧められて不順な天候の中に強ひて独墺及び和蘭陀ヲランダの旅を思ひ立つのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その日は積荷の都合で出帆しないと云ふので、その晩は僕も平野丸の客室サロンに蚊に食はれながらめて貰つた。晶子は思郷病しきやうびやうに罹つてひどくヒステリツクになつて居る。其れに少し体の加減も損じて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)