御文おふみ)” の例文
ここにはまたその頃のがたがたするような小さいスピネット(楽器)もある。この箪笥たんすはわたしが貴方に頂いた御文おふみを貴方の下すった品物と一しょに入れて置いた処でございます。
されば蓮如上人の御文おふみなどにも、「坊主」という語はたくさん見えて、決して軽侮の語ではない。法師と呼ばれては嫌がるが、坊主と云われれば喜ぶというのが、当時の有様であった。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
わたしは泣く泣く俊寛様へ、姫君の御消息ごしょうそくをさし上げました。それはこの島へ渡るものには、門司もじ赤間あかませきを船出する時、やかましい詮議せんぎがあるそうですから、もとどりに隠して来た御文おふみなのです。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)