御告おつげ)” の例文
贄卓にへづくゑの上の色硝子いろガラスの窓から差し入る夕日が、昔の画家が童貞女の御告おつげの画にかくやうに、幅広く素直に中堂に落ちて、階段に敷いてある、色の褪めた絨緞を彩つてゐる。
駆落 (新字旧仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
寝房ドルトアールのあるほうから入寝の鐘の音がきこえてくる。まるで天の御告おつげのような三点の鐘。
葡萄蔓の束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこで、娘はそれを観音様の御告おつげだと、一図いちずに思いこんでしまいましたげな。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)