彼是あれこれ)” の例文
彼是あれこれと恩にきなければならない事は、その為めに僅かな時間を得ても、何の役にも立たない程、彼女には、うるさく、不快であつた。
惑ひ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
彼是あれこれと考えると蝋燭のしんのたつ様で、しまいにゃア桂庵婆けいあんばゞあ追遣おいつかわれるように成るだろうと大抵てえ/\心配さ、愚痴をいうようだがおまえの身がさだまらないではときまりを付けようと思っても
東京に着いてから手紙を寄越すべき人をを彼是あれこれと數へてゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
処がそれによると私がさも/\他人に彼是あれこれ云はれるのがうるさゝに、自分の思ひどほりに出来ないでゐるとでも思つてゐらつしやるらしいやうです。
中村孤月様へ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)