役所やくどこ)” の例文
女役おやま実悪じつあく半道はんどうなんて、各自めいめい役所やくどこが決まっておりましてな、泣かせたり笑わせたり致しやす。——春の花見! これがまた大変だ!
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この二人が同じような柄行がらゆきで、いつも相列あいならんで同じような役所やくどこをつとめていたので、世間一般に“御神酒徳利おみきどっくり”と呼び慣わしていた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
内輪な、控え目な、つねに敵役によって苦しめられる不仕合なお嬢さんや若い細君がその役所やくどこだった。——強いていえば、木下と村田式部とをきまぜ、それに花柳の味を加えたような役者だった。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
陰惨な役所やくどこによくまり四谷怪談の伊右衛門など最も得意のものとしたいわゆるケレンにも達していて身の軽いことは驚くばかり
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)