強直ごうちょく)” の例文
痙攣! 萎縮いしゅく! そうして強直ごうちょく! ……大猿は一瞬にして死骸となった。つづいて幾匹かの甲州猿が、同じ径路をとって死んで行った。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
玄関の左右に並んだ真暗な階段の左側を、棒のように強直ごうちょくしつつ……ゴト——ン……ゴト——ン……という自分の足音を聞きつつ……一段一段と降りて行った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
柾木は彼女の手を取って、膝の上でもてあそびながら、じっとその顔に見入った。強直ごうちょくの来ぬ前であったから、手はくらげの様にぐにゃぐにゃしていて、その癖非常な重さだった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そうして棒のように強直ごうちょくした全身に、生汗をビッショリと流したまま仰向あおむざまにスト——ンと、倒れそうになったので、吾知らず観念の眼を閉じた……と思ったが……又
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)