引込ひっこん)” の例文
それも何時いつ如何いかなる時でも、自由に逢える恋人なら、何の悩みも無かったでしょうが、提灯に釣鐘ほどの不釣合な相手で、平常は新御殿奥深く引込ひっこんだまま姿も見せず、偶々たまたま外へ出る時は
衣更ころもがえの姿を見よ、と小橋の上でとまるやら、旦那を送り出して引込ひっこんだばかりの奥から、わざわざ駈出すやら、刎釣瓶はねつるべの手を休めるやら、女づれが上も下もひとしく見る目をそばだてたが、車は確に
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)