常夜トコヨ)” の例文
愛護の家に仕へる女に、大津坂本猿堂守りの娘、穴生生れの猿の扱ひ方を知つた常夜トコヨと云ふ早苗之助の女房になる女がある。
愛護若 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此意味に古くから口馴れた成語と思はれるものに「常夜トコヨく」と言ふのがある。かうした「ゆく」は継続の用語例に入るもので、絶対の闇の日夜が続く義である。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
翁の説を詮じつめれば、夜見ヨミ或は、と言ふ名にこめられた、よもつ大神のうしはく国は、祖々オヤ/\常夜トコヨと呼ばれて、こはがられて居たことがある、と言ひ換へてもさし支へはない様である。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
併しもう一代古い処では、とこよが常夜トコヨで、常夜トコヨく国、闇かきクラす恐しい神の国と考へて居たらしい。常夜の国をさながら移した、と見える岩屋戸ゴモりの後、高天原のあり様でも、其俤は知られる。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)